ホンダ・ライフの魅力とよくある故障や修理費用の目安

2014年4月をもって販売が終了したホンダの軽自動車・ライフとはどんな車だったのか?故障しやすい箇所や修理費用の目安などと併せて解説します。

ライフってどんな車?

ライフの歴史は意外に古く、初代モデルが発売されたのは今から46年前の1971年にまで遡ります。

ただその間ずっと販売を継続していた訳ではなく、1974年から1985年8月にトゥデイが発売されるまでの11年間はホンダ自体が軽自動車市場から一時撤退をしていました。

そして1997年、長い中断期間を経て2代目JA4型として復活を遂げたのです。

その後は1998年に3代目、2003年に4代目、2008年に5代目とフルモデルチェンジを重ね、2014年4月、とうとうその歴史に幕を降ろしました。

そのため現在は新車販売は行われていませんが、中古車市場には数多く出回っています。

そんなライフの魅力について見てみましょう。

ライフの魅力はどこにある!?


まず一つ目に「視界が広い」ということが挙げられます。

車の視界が良好なのは当然のことかも知れませんが、特にライフは右左折時や後方の視界が広くて見やすいと評価されている車です。

ほかにも、このような魅力が人気のポイントになっています。

■加速力と低燃費性

ホンダの高知能化エンジン第2弾「i-DSI」を搭載しています。小さいエンジンの中でいかに効率よく、そしてしっかりと燃料を燃焼させることができるかを徹底的に追求されたエンジンです。

少ない燃料で大きな力を生み出すことができ、発進時や加速時の反応の良さは特に街乗りが中心の人に好評だったようです。

燃費性能は、いずれもJC08モードにおいて

・i-DSIエンジン 19.6km/L
・i-DSIエンジン+インタークーラーターボ 17.6km/L

という低燃費性を実現しています。

■広い室内空間

ラゲッジスペース(荷室)はベビーカーを縦横どちらにしても収納でき、さらに18Lのポリタンクも2個~3個程度置ける広さを有しています。

また後部座席も軽自動車と思えないほどゆったりしていて、大人が足を組めるほどの余裕があります。

■乗降りや移動がしやすい

ベンチシート、インパネシフト(シフトレバーがインパネに組み込まれているもの)の採用によって運転席ー助手席間の移動がスムーズに行えますので、運転席側が狭くて降りられない時でも助手席側から楽に降りることができます。

また低床フロアも採用されているほか、乗降時に掴むグリップの位置を下げたことで子供やお年寄りも乗り降りしやすくなっています。

このようにライフには当時のホンダの様々な技術が織り込まれています。

見た目のかわいさ、フロントマスクの存在感なども影響して、小さな子供を持つ主婦層にも人気が高かった車種です。

ライフで故障しやすい箇所や修理費用の目安


ライフで故障しやすいと言われている箇所と修理費用の目安をご紹介します。

■エンジンバルブの劣化によるエンジンの不調

エンジンバルブとはいわゆる「弁」のことで、主にエンジン内の気密を保つ役割を担っています。エンジンのピストンに連動してバルブが開閉し、エンジン内に空気を取り込んだり燃焼して発生したガスを排出するためのものです。

このバルブが経年劣化によって変形してしまい、バルブクリアランス(隙間)が正常時よりも狭く(または広く)なってしまうため、アイドリング不良や激しいハンチングが起こると言われています。

*ハンチング=エンジンの音が大きくなったり小さくなったりする現象

特にエンジン始動時のまだ十分に温まっていない時に発症し、エンジンが温まってくるとバルブも膨張して正常なクリアランスとなるため解消することが多いようです。

直すには劣化したバルブを交換しなければならないのですが、交換したバルブをすり合わせたりシリンダーヘッドを取り外したりといった作業も付随しますので、修理費用はトータルで10万円以上は見積もっておいた方が良いでしょう。

■スロットルボディの汚れ

エンジンルーム内にある吸入空気量を調整するための部品がスロットルボディです。

ライフに搭載されているエンジンはスラッジ(劣化した油、サビなどの沈殿物)が発生しやすい構造になっていると言われていて、そのスラッジがスロットルボディに詰まってしまうことが原因と言われています。

するとエンストやアイドリングが極端に不安定になるといった現象が頻発するようになってしまいます。

スロットルボディを清掃するという方法もありますが、きちんと解消したいのであればやはり交換がお勧めです。

作業工賃も含めると4万円~5万円程度かかってしまいますが、安心感や快適さを取り戻すためなら安い方だと言えるかも知れません。

■クランク角センサーの故障

クランク角センサーは、簡単に言うとコンピューターにエンジンの状態を伝達する役割を果たすセンサーです。

このセンサーが経年劣化によって故障あるいは異常を起こして

・走っている途中なのに突然エンストしてしまう

という、考えただけでも恐ろしい症状を招いてしまうことがあります。クランク角センサーは電子部品の一つですのでそこまで修理費用は高くありません。作業工賃を入れても2万円~2万5000円あれば十分でしょう。

一度でも症状が出たら迷わず交換をお勧めします。

ライフで多いと言われているのはこのような故障です。

ライフのその他の故障や不調について


まずは故障というよりもライフの「仕様」ですが、電動パワーステアリングのギヤボックス(歯車)が硬くなってしまい

・ステアリングが重くなる
・手を離しても固定されてしまい戻らない

という症状が出ることがあります。正常であればハンドルから手を離すと自然と直進の状態に戻りますが、その「戻り」が無くなってしまうのです。

もちろん手動で戻りますが、右左折時や高速道路を走行中などに不意にそのような状態になったことを考えると焦ってしまいますし、危険です。

直すにはステアリングラックを交換することになるのですが、5万円~10万円(リビルト品では3万円~5万円)程度かけて直しても、仕様ですので再発する可能性があります。

ほかには

・パワーウィンドウが動かなくなる
・エキゾーストマニホールドが割れてしまう
・アクセルを踏み込んでも30km程度までしか出ない

といった故障や不調もあるようです。

なおエキゾーストマニホールドとはエンジンから出ている複数の排気管を一つにまとめる部品です。鋳鉄製のためまず割れることは考えにくいのですが、ライフではそれがあるようです。

エキゾーストマニホールドが割れると排気ガスが漏れるようになってしまいます。もし交換する場合は、中古品で1万5000円程度、新品では4万円程度を見ておきましょう。

さいごに

今回はライフによくある故障を中心に解説してきました。

もう製造販売されていませんので、できれば長く乗り続けたいところではありますが、経年劣化による故障は比較的高額になりがちで、5万円~10万円かけて修理しても再発するリスクは拭きれません。

走行距離や年式にもよりますが、そのような故障の場合は思い切って買い替えを検討した方が良いかも知れませんね。