デミオってどんな車?
マツダのコンパクトカーの代表格がデミオです。1996年8月に初代DW系が発売され、2002年、2007年、2014年にフルモデルチェンジを経て、現在は4代目DJ系が高い人気を得ています。
新型デミオの最大の特徴としては、日本仕様としては初となる「1.5Lディーゼルエンジン」を搭載しているという点です。
もちろん「1.3Lガソリンエンジン」も発売されていますが、デミオ全体で見るとディーゼルエンジンモデルが6割、ガソリンエンジンモデルが4割と言われていますので、中心はディーゼルエンジンと言えそうです。
《マツダのディーゼルエンジン》
マツダのディーゼルエンジンは「クリーンディーゼルエンジン」とも呼ばれています。
このエンジンには「DPF」というフィルターが付いていて、エンジン内で発生した有害物質を除去します。これにより排気ガスが浄化されるという、環境にも配慮されたエンジンです。
さらにフィルター内に蓄積した有害物質をエンジン内部で焼却するというメカニズムも兼ね備えています。
マツダのディーゼルエンジンは、
・振動が少なく、ガソリン車と比べても遜色ないほど静か
・ガソリンエンジンと比べて大幅に燃費性能がアップ
といった特徴があります。
デミオのディーゼルエンジンの不具合
そんなマツダ自慢のクリーンディーゼルエンジンですが、ノッキング(燃焼異常)が多発して、2016年にデミオが不具合のためリコールとなった経緯があります。
DPFフィルターによって除去された有害物質はフィルター内に蓄積され、汚れていきます。
この汚れを、エンジンを吹き上げることによって内部で燃焼させてしまう仕組みなのですが、これを「DPF再生」と言います。
このDPE再生中にノッキングが発生して「エンジンはかかっているけれどアクセルを踏んでも加速しない」といったデミオの不具合が起こり、「高速道路を走行中に突然異常が発生して加速しなくなり、怖い思いをした」などという人が続出しました。
《このデミオの不具合の原因と対策》
マツダはこのデミオの不具合の原因を「エンジン制御コンピュータの吸入空気量制御が不適切だった」と発表しています。
それによって気筒内の燃料濃度が部分的に濃くなり、燃焼時に多く煤(すす=カーボン)が発生し、排気バルブが正常に動きにくくなることで圧縮不良による加速不良や、車体振動が発生してしまうというものです。
最悪の場合は走行中にエンジンが停止するおそれがあるとしています。
マツダはエンジン制御コンピュータのプログラムを修正し、フィルターの清掃をするという対策を実施しました。
デミオの最新の不具合・リコール情報
ディーゼルエンジンに関するリコールではありませんが、マツダは2017年2月9日、4月13日と立て続けにデミオの不具合によるリコールを国土交通省に届け出ています。
《2月9日に届け出たデミオの不具合・リコール》
■不具合内容
・運転席の座席の高さを調整するリフタリンクの強度が不足している
・リフタリンクの抜け止め防止用プッシュナットの固定方法が不適切
これによってリフタリンクに亀裂が入ったり、プッシュナットが外れたりすることがあり、座席から異音や振動が発生し、最悪の場合リフタリンクが破損もしくは外れて座席が傾き、正しい運転姿勢が取れなくなるおそれがある。
■改善内容
リフタリンクを点検し、亀裂が無い場合は補強ブラケットを追加してプッシュナットを2枚構造にする。もし亀裂がある場合はシートアジャスターユニットを対策品に交換する。
■対象車両
型式:DBA-DE3AS
車台番号:DE3AS-100011~DE3AS-350104
対象車の台数:7,714台
型式:DBA-DE3FS
車台番号:DE3FS-100037~DE3FS-353538
対象車の台数:133,955台
型式:DBA-DE5FS
車台番号:DE5FS-100027~DE5FS-350288
対象車の台数:21,347台
《4月13日に届け出たデミオの不具合・リコール》
■不具合内容
LED前部霧灯(後付け用品)を取り付けた車両において、取り付ける際に使用するハーネスが不適切なため、右側前照灯もしくは右側車幅灯に電気が流れず、不灯となるおそれがある。
■改善内容
灯火装置を点検し、不灯となる場合はLED前部霧灯取付けハーネスを対策品に交換する。
■対象車両
型式:DBA-DJ3AS
車台番号:DJ3AS-300005~DJ3AS-301405
対象車の台数:14台
型式:DBA-DJ3FS
車台番号:DJ3FS-301083~DJ3FS-309503
対象車の台数:62台
型式:LDA-DJ5AS
車台番号:DJ5AS-300004~DJ5AS-300958
対象車の台数:8台
型式:LDA-DJ5FS
車台番号:DJ5FS-301142~DJ5FS-304785
対象車の台数:13台
その他のデミオの不具合・リコール情報やサービスキャンペーン情報、自分の車両が対象車両かどうかの確認などは下記のページより行えます。
ディーゼルエンジンは煤が溜まりやすい
その構造上、ガソリン車と比べるとどうしても煤が溜まりやすくなってしまうディーゼルエンジンですが、一部のマツダディーラーでは次のようなアドバイス用紙を配布しています。
(1)アイドリングストップを心がけて頂くとともに、短い走行距離でのご使用が多い場合は、エンジンのコンディションを整えるために週に1~2回、30分以上の走行を実施いただくことをお勧めします。
(2)アクセルペダルの急なON、OFF操作を行わない運転をお願いします。
(3)MT車においては、ギヤシフトインジケーターも参考にして頂き、エンジン回転が1200rpm以上をキープする走行を心がけて運転されることをお勧めします。
・長時間のアイドリング
・短距離走行の繰り返し
・アクセルの急なON・OFF
・エンジン回転数1200rpm以下からの踏み込み
これらは全て煤を発生させやすくしてしまう原因となりますので、デミオのディーゼルエンジンモデルにお乗りの方は、デミオの不具合を防ぐためにもぜひ覚えておきましょう。
それでもデミオのディーゼルは素晴らしい!
デミオの不具合やリコール情報についてご紹介してきましたので、どうしても不具合が多いような印象があるかも知れませんが、デミオのディーゼルエンジンは素晴らしい特徴ばかりです。
これまでディーゼルというと「エンジン音が大きく、黒煙を吹く」といった印象があり、トラックやバス、ダンプなど中型~大型車に多く取り入れられてきました。
この黒煙の中には、窒素酸化物や粒子状物質といった光化学スモッグの原因となる物質が多く含まれていて、環境面において大きな問題となっていました。
マツダが開発したクリーンディーゼルエンジンは、DPEというフィルターを搭載することによってこれらの有害物質を除去し、排気ガスを浄化するというとても素晴らしいエンジンです。
振動や音もガソリン車と遜色なく、それでいて燃費はガソリン車を上回る30.0km/L(JC08モードでの燃費、ガソリン車は24.6km/L)を実現するなど、魅力がたっぷりと詰め込まれています。
さらに、デミオのディーゼルは自動車取得税・自動車重量税が減免税されるほか、クリーンディーゼル補助金を受けることもできますので、初期費用・維持費ともに安上がりなのも嬉しいポイントです。
デミオの購入を検討中の方はぜひ、ディーゼルの魅力にも触れてみてはいかがでしょうか?